三重県Fさま 大切に次世代に繋ぎたい

三重県桑名市の諸戸徳成邸に保管されていた桐たんすです。諸戸邸は歴史的価値が高く、文化財として保存すべき建造物と評価されていました。その諸戸邸が取り壊されるのを機に、ゆかりの品を譲り受けられることになり、今後大切に受け継いでお使いになりたいとお考えになられ、ご依頼いただきました。再生後の仕上がりの色は時代仕上げ(時代白)です。他の家具には、あまり見られない色ですが、「せっかく桐たんすを直すのだから」ということで、お選びいただきました。焼いた桐に純白色の砥の粉が映える、昔から桐たんすの時代仕上げの色として好まれてきた色です。

桐たんすの台輪がなかったため、新たに台輪を製作しました。台輪は桐たんすを支える枠組みの台木で、桐たんすを安定させたり、下部の汚れを防ぎ、最下部の引出しの開け閉めを容易にするほか、床と下台との間に空間を作り、地板(床の板の部分)などの狂いを防ぐ役割も果たし、湿気を防いでくれます。