桐たんす修理例 神奈川県Мさま
毎日、猛暑や酷暑の日が続いています。
夕立ちの後の冷たい空気や風呂上がりの夕涼み、
暑いながらも、ゆったりとした気分で
過ごせていた子どもの頃の夏が懐かしいです。
「危険な暑さ」や最近では「災害級の暑さ」
と言われていますので、周りの方とも声を
かけ合いながら、気をつけて過ごしたいと思います。
今回ご紹介する桐たんすは、神奈川県にお住いの
Мさまがお知り合いの方から譲り受けられた
新潟の佐渡箪笥です。
佐渡島では元々船箪笥が多く作られ、佐渡箪笥も
その流れを汲んで、繊細な透かし彫りの金物が
前面を覆う、非常に華やかな金具遣いが特徴的です。
再生前の佐渡箪笥
金物の紋様には何が描かれているのかと、
思わずじっーと見入ってしまいます。
鳥や鯉、打ち出の小槌など、縁起の良い図柄から、
どうか幸せにという願いが込められているように感じます。
引出しには「明治45年正月」の文字が記されていました。
製作された頃のものであれば、百十数年前の箪笥という
ことになり、とてもブラボーな桐たんすです。
こんなに大きな金物を外すのも初めてです。
全て違う図柄なので、どこに付いていた金物か、
後で分からなくならないように、裏には引出しの番号と
左右、上下を記しました。
木地修理後の佐渡箪笥

棚板の虫食い部分を新しい材と交換後、
棚板の前面に厚さ5㎜の桐材を足して、
引出しと棚板の面づらを合わせています。
棚板等のL字アングルと平板の隅金具は錆により、
劣化して朽ちたり、変形して歪みが生じていたため、
再び取り付けることが困難な状態でした。
そのため、L字アングルと平板の新しい生地を
加工・塗装して、棚板用の金具を製作しました。
再生後の佐渡箪笥
お届け設置後の佐渡箪笥
この箪笥の持ち主だった方は、とてもおしゃれな方で、
箪笥の上にはジュエリーボックスを置き、
普段着る洋服を収納してお使いになっていたそうです。
長い年月のうちに傷みも生じていましたが、
ご自宅で修繕されながら、大切にお使いになっていた
様子がうかがえました。
Мさまは、この箪笥のことが好きで、持ち主の方も
Мさまなら是非にということで、譲り受けられ、
「その方の人生のお供だった箪笥を我が家に
迎え入れることがありがたく、再生できるのであれば、
きれいに修理してあげて着物が収納できれば」と
考えておられました。
持ち主だった方も、Мさまのお気持ちが嬉しく、
安心されていることと思います。
再生後は着物を収納する桐たんすとして、
また大切な方とのつながりが感じられる思い出の
品としても、末永くご愛用いただければと思います。


