桐タンス修理例 大阪府Nさま

年が明けて早くも1カ月が経って
しまいました。
当たり前ですが、今年はあと11カ月。
一年は本当に早いもので、
年を重ねるごとに、時間の大切さを
より感じるようになってきました。
今年はあっという間に一年が経って
しまったということがないように、
時間を大切に使いたいと思います。

修理例やお客さまの声も少しずつ、
ブログで綴らせていただきますので、
再生される際の参考にしていただければ
と思います。

それでは・・・、早速ですが、
修理例をご紹介したいと思います。

以前にも曾祖父母さまの桐たんすの
再生をさせていただいたお客さまで、
今回また、小引出し箱二つを
ご依頼いただきました。

(修理前の桐の小引出し箱)

(修理前:斜めから)

小引出し箱は、富山で商店を
営まれていた曽祖父母さまが、
祖父母さまにも引き継がれ、
長年お店でお使いになられていたものです。

引出しの中には、昔の手書きの伝票
などが沢山入っていたそうです。
底板に書かれた購入時の記録からも
誠実なお人柄が感じられ、
小引出し箱の擦れて丸くなった角や
無数の細かな傷を眺めていると、
当時のお店の中のにぎやかな様子が
聞こえてくるようでした。

また、引出しにはご自宅で修理された
跡が見受けられ、直しながら大切に
使われていたことがうかがえました。

(木地修理後)


(再生後の小引出し箱)
仕上がりの色:オイル仕上げ

左:ブラウン・右:ダークブラウン

(再生後:斜めから)

大きな方の小引出し箱には、
ご希望の高さ18㎝の四隅タイプの鉄脚を
取り付けました。
上の写真は当工房での様子ですが、
Nさまのご自宅では、リビングの
正面に設置され、新築のお部屋との
相性もぴったりの様子でした。

数年前に桐たんすを再生して
納品させていただいた際に、
「どこにも売っていないものだね」
とお話されながら、桐たんすをやさしく
眺めておられたことを思い出しました。

今回の小引出し箱も、商店での忙しい
日々を曽祖父母さまのそばで、支え
続けたものと思います。
さらに祖父母さまの手のぬくもりも
重なり、そこには新しいものにはない、
どこかほっとさせられるあたたかみが
感じられます。

Nさまがお話されたように、
どこに探し求めても見つけることが
できない、かけがえのないものと
改めて感じさせられました。
これからも、ひ孫さまご家族の暮らしを
そばで見守り、思い出も積み重なりながら、
末永くご愛用されることを願っています。