桐タンス修理例 三重県伊賀市Tさま

5月というのに、真夏のような暑さが
続いていますね。
まだ体が暑さに慣れていないので、
熱中症になる危険性が高く、
こまめな水分補給や休息を心がけて、
乗り切りたいところです。
我が家の麦茶のピッチャー、早くも
活躍してくれています。

さて今回の修理例は、ご自身のお嫁入り
の桐箪笥をきれいにして、これからも
大切に使い、ゆくゆくは、娘さまにも
お譲りになりたいとお考えになり、
再生された桐箪笥のご紹介です。
お母さまに持たせてもらった
お嫁入り道具は、他にもう一棹と
布団箪笥、長持ちなど・・・、
一緒に嫁いでこられたと伺いました。


修理前の桐たんす

(お預かり時に撮影)
総桐たんす。
引出しは蟻組み接ぎという仕口で
組んであり、外れにくく大変強固な
造りをしています。
表面は経年変化により、塗装(砥の粉)
が取れて、所々桐の木肌が現れ、
黒っぽくなった状態でした。

柔らかな木目や半月カンの引手が
とても上品な桐タンスです。

修理後:仕上がりの色:とのこ仕上げ(とのこ黄)

金物は状態も良く、汚れやくすみを
除去し、磨いて元々のものを
取り付けています。


再生前は、美しい桐の木目が分かり
づらくなっていましたが、
再生後は、お嫁入り当時の桐たんすの
姿を取り戻し、やわらかな桐の木目も
映えて明るい印象になりました。

これまでも「母が持たせてくれたもの
だから」と日々の暮らしの中で、
大事にお使いになられていたことが
うかがえる桐箪笥でした。
お話を伺いながら、桐箪笥に詰まった
お母さまの思いをそばで感じながら、
時には励まされたり・・・、
時には慰められたりすることもあるの
だろうなぁと感じました。

これからもTさまご家族の伊賀での
暮らしがやさしく見守ってくれる桐箪笥
とともに楽しく穏やかなものである
ことを願っています。