桐タンス修理例 富山県Iさま

本日こちらは梅雨の中休みといった
お天気です。
この時期は貴重な晴れ間を利用して、
桐タンスのカビ処理と洗い作業に
タイミング良く入れるように、
お天気を見ながらの段取りが
欠かせないです。

さて今回の修理例は、娘さまの
お嫁入りの際に、ご準備されたもので、
水害によって、中に収納されていた
着物とともにカビの被害にあった
桐タンスの修理例です。

ご結婚後も富山のお母さまが大切に
預かってこられましたが、
今回の再生を機に大阪にお住まいの
娘さまの元で使われることになりました。

修理前の桐たんす:上台の扉

修理前の桐たんす:下台

上台が扉になっている大洋の
総桐たんすです。
本体の側面から前面への丸みが
特徴的で桐材も厚く、とても高級な
造りをしている胴丸の桐たんすです。

修理前の桐たんす:扉の中
扉の中もしっかりと中の着物を
守る気密性のある引出しになっています。

経年により、表面の塗装(砥の粉)が、
落ち着いた、いい風合いの色に
変化していましたが、
扉の中の引出し前面や扉の裏、
本体下台の側面に黒カビが広範囲に
発生していました。

修理前の桐たんす:本体右下
ご購入から20年程ですので、カビ以外の
損傷はほとんどありませんでした。

修理の様子


再生では薬品処理や削り直しをして、
心配されていたカビを除去しました。
カビが広範囲で多いこともあり、
数回に分けて様子を見ながら行いました。

この桐タンスの金物のカビ処理の
様子も昨年のブログで紹介しています。
こちらもご覧ください。

修理後:仕上がりの色:とのこ仕上げ(とのこ黄)

修理後:下台

修理後:扉の中

修理後:本体右下
桐の木目もやわらかで、本来の美しさを
取り戻しました。
中の着物もクリーニングできれいになり、
これで桐たんすも再生されましたので、
再び気持よく着物を収納して
いただけると思います。

大阪の娘さまのご自宅に納品後、
「この大きな桐たんすを手元に置いて
使うことを半ば諦めていましたが、
美しく蘇った桐箪笥を見ると
色々な想いが重なり、おおいし様に
感謝しかありません。」とのお言葉を
いただきました。

またお嬢さんも、桐箪笥に触れて、
ホンモノって良いねと引出しを
出したり閉まったり・・・、
桐箪笥の鍵もお嬢さんが預かって、
ほとんど自分のものと思っているご様子
とともに、それをそばで見ていて
温かい気持ちになっていますと教えて
いただきました。

このお話を伺い、ご依頼いただいた
富山のお母さまの思いが、
桐たんすを通じて、ご家族のみなさんに
じんわりと伝わっていくようで、
これからも桐箪笥とともに、その思いが
受け継がれていくことを思うと、
とても温かな気持ちになりました。