再生した桐たんす

想いをつなぐ

世界でひとつの桐たんすが受け継がれ、暮らしの中で長きに渡りお使いいただけるよう、丹精込めて再生、修理しています。「思い出が詰まった桐たんすをよみがえらせてほしい」「おばあちゃんの嫁入り道具の桐たんすを娘に持たせたい」というお客さまの思いに応え、想いがつながることを願って、桐たんすを再生しています。

アレンジを施した鍵穴

機能美を取り戻す

使い込まれた桐たんすは割れや隙間、がたつき等があり、表面は塗装がはがれて木地が表れ、黒ずんで保護されていない状態です。気持ちよく末長く使っていただくために、気密性を回復する木地修理と桐の呼吸を妨げない塗装にこだわり、中にしまう物を守るという桐たんす本来の機能と桐の木目や佇まいの美しさを取り戻すことが桐たんすの再生と考えています。

再生に用いる金物

希望を形にする

これから一緒に暮らす桐たんすだからこそ、使い方やご希望を伺い、形にしていくことを大切にしています。仕上がりの色を豊富に揃え、愛着のある元の金物の活かし方や新調した金物、使い方に合わせたアレンジなどをご提案しています。暮らしが楽しくなり、わくわくする、自分好みで愛着のわく桐たんすの再生を目指しています。

プロフィール

1974年生まれ。三重県伊賀市在住。高等技術専門校木工科で木工の基本を学ぶ。
在校中、指物などの伝統工芸に惹かれ、中でも、人々の暮らしの中で馴れ親しまれ、再生すれば半永久的に使える万年道具である桐たんすに興味を持ち、桐たんすの産地を訪ね、木目や佇まいの美しさ、艶やかな輝きに魅了される。桐たんすが暮らしの中から消えていく現実を知ることで、桐たんすを再生する仕事に従事したいとの思いが生まれる。桐たんすを守っていく技術を身につけるため、桐たんす製造元で修業・従事し、その機能美や一つ一つの工程を丁寧に積み重ねていくことの大切さを覚える。その後、再生専門工房での修業を経て、三重県伊賀市にて「桐たんす再生工房おおいし」を開業。屋号には、桐たんす再生が広く知れわたってほしいとの願いを込める。地元三重県をはじめ、全国各地のお客さまから再生依頼の声をかけていただき、伊賀の山里から桐たんす再生の音を響かせ、一棹一棹の桐たんすと向き合う日々を重ねています。

桐たんす再生 大石典幸

桐たんす再生 大石典幸 近影
再生作業に用いる工具