桐たんす修理例 奈良県Nさま
今回ご紹介する修理例は、、昭和8年にお嫁入り
された曾祖母さまの中洋と小袖の桐たんすです。
以前に再生させていただいた桐の飾り棚に引き続き、
再びお声をかけていただきました。
この度の二棹の桐たんすは、神奈川にお住まいの
ひ孫さまご家族が受け継がれます。
蔵の中で大切に保管され、他にもお祖父さまが
婿入り時に持ってこられたハーモニカたんすも
残されていました。
再生前の中洋たんす
再生前の小袖たんす
引出しなどの内部もきれいな桐材が用いられ、
本体・引出し・お盆に至るまで、蟻組組み接ぎで
組まれ、ゆるみにくく大変強固な造りの
桐たんすです。
桐たんすに収められていた目録

目録には総桐三重箪笥・小袖箪笥・長持など、
事細やかにお嫁入り道具や数量が記されていました。
桐たんすをお預かりする際に見せていただいた
のですが、とても興味深くて、じっくりと
見てしまいそうになり、搬出作業の手が少し
止まってしまいそうなほどでした。
これから嫁ぐ先で困らないように、どうか幸せに
という願いを込めて、婚礼の準備をされた様子が
感じられました。
再生後の中洋たんす
再生後の小袖たんす
仕上がりの色は桐のあたたかみが感じられる、
オイル仕上げ(ダークブラウン)です。
木目もやわらかく、やさしい風合いとなり、
経年変化した金物の色とも良く合っています。
再生前:棚板と引出しの隙間
木地修理後:引出しの上端に材を足して調整
再生後
材の収縮により、引出しと棚板の間に大きな隙間が
生じている所は、引出しの上端に材を足して
仕込み直しを行い、気密性を高めます。
鍵の部分の金物は、「浮線蝶(ふせんちょう)」
という家紋がかたどられ、羽を左右に大きく
広げたアゲハ蝶を真上から見た形をしています。
蝶は幼虫から蛹(さなぎ)になり、やがて華麗に
飛び立つことから「不死再生」を連想させ、
その優雅な印象から、様々な形の家紋が作られて
広がっていったそうです。
再生後は、ひ孫さまご家族との暮らしの中で、
曾祖母さまの桐たんすの時間が再び動き出します。
蔵の中で、その時をじっと待ってくれていたのかなと
想像すると、とてもあたたかな気持ちに。
お届けの際に、ハロー!と迎えてくださった
かわいい二人の息子さまにも、これから、
どんどんお使いいただけたら嬉しいです。


