桐たんす修理例 三重県亀山市Nさま
今回ご紹介する修理例は、亀山市Nさまの
お嫁入り時の桐タンスです。
長く他県で居住されていたため、
ご実家で保管されている間に、
いつの間にかカビが発生してしまい、
お困りのところ、当工房へ再生の
ご依頼をいただきました。
再生前の桐たんす

本体の前面から側面へ丸みを帯びた形が
特徴的な胴丸の桐たんすです。
厚い桐材が用いられ大変強固で高級な造り。
非常に気密性が高いので、本来は一つの引出しを
入れると、他の引出しが出てきますが、
湿気を含んで膨らんでいるため、再生前は
スムーズに開閉することができませんでした。
桐たんすの表面は経年変化により、
表面の塗装(砥の粉)が少々濃くなり、
いい風合いの砥の粉色になっていましたが、
黒カビが扉の内部や扉裏、本体下部や側面など
広範囲に発生していました。



木地修理後の桐たんす



木地修理は、カビの除去を中心に。
お湯と洗剤で桐たんすの本体と引出しの
内部や表面を洗い、じっくりと乾燥させ、
その後本体や引出しの内部のカビには薬品処理を、
表面のカビは削り直しをして、カビの除去を。
年数も経っていないので、新品の木地のようです。
再生後の桐たんす






塗装は、表面をがっちりとコーティングする
塗装ではなく、砥の粉とロウによる
桐たんすの伝統的な塗装を施しました。
桐材の呼吸を妨げないので、湿度が高い季節は
桐材が膨らんで湿気の侵入を防ぎ、中の衣類を
守ります。

実は、胴丸の桐たんすは、丸みを帯びた形状のため、
美しく仕上げるためには、刷毛やロウの当て方、
動かし方など、とても気を遣います。
繊細な仕上げ塗りが一通り終わると、
本当にほっとします。
膨らんで引き出しづらくなっていた引出しも
スムーズに開け閉めできるように、仕込み直しを
しましたので、再び気持ちよくお使いいただけると
思います。
やわらかな桐の木目も美しく映え、
明るい印象になり、Nさまのお嫁入り当時のような
本来の姿を取り戻したと思います。
これからも大切な着物を安心して収納できる
桐たんすとして、また、ご家族をつなぐ品として、
末永くご愛用いただければと思います。


