桐タンス修理例 熊本県 Hさま

仕上がりの色:時代仕上げ(時代茶)

以前、当工房で桐箪笥の再生させていただいたお客さまの
ご紹介により、今回再生依頼していただきました。
ご自宅で補修された跡が見受けられ、直しながら大切に
使われてきたことがうかがえました。

修理前の桐たんす
 
引出しにがたつきがあり、特に大きい引出しは、
スムーズに出し入れできず、
観音開きの扉は、きちんと開閉できない状態で、
金物(つまみ)も破損していました。
全体的に割れ、隙間、欠け等があり、多くの角は
擦れて丸みを帯びていたため、修理箇所が
目立ちにくくなる時代仕上げになりました。

(再生前)

本体のゆるみ、棚板と引出しの上端に隙間がありました。

(木地修理後)

本体のゆるみを締め直し、引出しの上端に桐材を張り、
棚板との隙間を調整して、気密性を回復させています。

(再生後)

時代仕上げ(時代茶)の木目

小さい扉の中


(再生後:全体)

扉は丁番や金物(つまみ)も新しいものに交換しましたので、
きちんと開け閉めできるようになりました。
その他の金物は、元々の金物を活かすことを希望され、
錆や汚れなどを除去して、黒で磨いています。

熊本から三重へ修理に出され、また熊本へ戻る
長い旅路を続けた桐タンスもやっと我が家に戻る
ことができ、納品時は、ほっとしているように見えました。
早速、着物を収納され、「本当にあの箪笥かしらと思うほど」
と喜んでいただくことができ、とても嬉しく思いました。

遠く感じていた九州・熊本でしたが、桐タンスのおかげで、
身近に感じられ、全国の天気予報でも熊本が気になったり、
テレビで熊本というキーワードが出てくると、
思わず見入ってしまう今日この頃です。